NTTOBSV会会報への寄稿

国際協力機構(JICA)
青年海外協力隊事務局
ボランティア参加促進課
佐藤 睦

JICA青年海外協力隊事務局 募集課長 佐藤 睦

 平素はJICAボランティア事業に対しまして、格別のご理解とご協力をいただき、心より感謝申し上げます。NTT OB SV会会報No.17の発行に当たり、平成22年度春募集の状況も含め、今後のJICAボランティア事業につきまして、想いの一端を述べさせていただきます。

 4月1日から5月17日までの日程で実施されている平成22年度JICAボランティアの春募集の状況ですが、4月25日現在、全国の募集説明会への参集者数は、シニア海外ボランティア(以下「SV」)は2,720名、青年海外協力隊(以下「JOCV」)は6,274名となっております。貴会をはじめ、各OB会の皆様のご協力のお陰をもちまして、多くの方々にJICAボランティアに関心を持っていただき、説明会に足を運んでいただいており、大変有難いと考えております。
しかしながら、前回(平成21年度春募集)の同時期と比較しますと、SVでは約500名、JOCVについては約1,000名ほど、下回っている状況です。要因はまだはっきりとは分かりませんが、最近の若者の「超安定志向」に代表されるように、日本全体の「内向き傾向」が相当に進んでいるような印象を持たざるを得ません。残りの募集期間を通じて、同事業の魅力・価値を丁寧にお伝えし、一人でも多くの方に応募していただけるよう、取り組んでいきたいと考えております。
 2009年1月に現在の部署に異動して1年4ヶ月が経ちました。担当の仕事柄、募集説明会や各種イベント等において、その参加者(シニアも青年も)と直接やり取りをすることが多いのですが、ボランティアに強い関心を持っている方々が全国にたくさんいることを嬉しく感じることもある反面、「淡白」、「受動的」、「内向き」といった印象を持つことが少なくありません。
説明会の応募相談に対応していても、募集要項を袋から取り出すこともなく「私に何ができるのか教えてください。」などと聞いてきたり、ただ単に試験に受かるためのテクニックを知りたがったりする方がいます。小職が協力隊に応募した時(平成8年度)と比べても、現地でのボランティア活動への熱い想いなどを、期待と不安を交えつつ語ってくるような人は少なくなったように感じているのですが、気のせいでしょうか。
 昨年の11月に台湾に出張する機会がありました。目的は、台湾の行政機関が主催する海外ボランティアセミナーに出席し、台湾の大学生、NGO、一般市民等に対してJICAボランティア事業を紹介することです。
 私が先ず驚いたのは、JICAボランティアについてすでに知っているという方々がかなり多かったこと、なかにはアフリカや大洋州の国々でのボランティアプログラムに自費で参加し、そこでJICA事務所を訪ねて活動中のJICAボランティアを紹介してもらい数日間活動を共にした、といった熱心な方までいたことでした。
 一通りの説明を終えた後、200名ほどの座席がほぼ一杯となった会場から質問を受け付けたのですが、真剣な質問が途切れることがありません。特に「自分たちもJICAボランティアに参加したいが、可能か?」という質問に対して、「日本国民の税金によって実施されている事業であり、また受入国との関係もあり、日本国籍を有していることを資格要件としている」と回答した時の、会場全体が落胆のため息につつまれた時は、(仕方がないのですが)こちらもなにか申し訳ないという思いになってしまいました。
 あるシニア世代の方からは、子どもの教育に非常に役立つものであり、自分の子どもにも参加させたいといった意見も出されました。セミナー終了後も多数の人が私を取り囲み、熱い意見交換ができました。
経済的に豊かになり、社会的にも成熟しつつある台湾では、一昨年の台風で大きな被害を出した際の国内のボランティアの活躍もあいまって、ボランティアへの関心が急速に高まっているようです。
 また台湾にもJICAボランティアをモデルとして整備した長期の海外ボランティア事業があるのですが、国交締結国(派遣国)が限定されているためあまり魅力的には映っておらず、その分余計に日本のJICAボランティア事業への注目度も高いということも分かりました。日本の募集説明会の雰囲気・感覚でいた私は、大きな衝撃を受けて帰ってきました。
 事情が異なる日本と台湾を同一に論じることはできませんが、このような海外ボランティアに対する大きな盛り上がりを日本でも期待できないものでしょうか。  
海外ボランティアに対する日本社会の関心・評価をより高めていくためには、途上国に貢献するだけではなく、海外から日本を見つめることによって日本の良さや問題点を再発見して帰国し、ボランティア経験を活かして、日本の抱える様々な課題にチャレンジしている帰国ボランティアの姿を一層伝えていく必要があると考えています。
「日本も元気にできる」JICAボランティアの意義・価値をこれまで以上に広報していきたいと考えていますので、今後ともご理解・ご協力をいただきますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。

以上