やってよかったシニアボランテイア体験記
加藤  隆氏 (2004年・タイ派遣)
                  (日比谷同友会会報 2008.7 No.182 に掲載)


ご存知の方も居られると思いますが、シニア海外ボランテイア(以下SV)は青年海外協力隊のシニア版とも云えるもので、“長年培った技術と経験を開発途上国のために生かすだけでなく、その国の人々と直接触れ合い交流することから生まれる草の根レベルの国際交流(JICAホームページより)”で、現在54ヵ国に約600名が派遣されてます。これはJICAの事業で開発途上国の要請に基ずき、それに希望者が応募し選抜され派遣がなされます。

応募の決意はチャレンジ精神で

私は退職後はそれまでに得られた電気通信技術と外業務経験を生かしたいと思っておりました。かってNTTバンコック事務所で、業務の一環としてJICA専門家や青年海外協力隊員の支援をしましたが、自分でもぼんやりボランティアをしてみたいと考えておりました。そしてNTTのOBの方のSV体験を伺ったりしているうちに、私もチャレンジしようと思い立ちました。                        
 そこで募集要項を見ましたが、私の経験がそのまま生かせる要請案件は見当たりませんでしたので、かって中央学園教官の経験を生かしタイの工業大学講師の案件に応募することしました。これは清水の舞台から飛び降りるような思いでした。

活動はエキサイトの連続

要請内容は産業振興に寄与できる技術者の育成です。指導科目は「電子・電気通信」で、活動の中心は英語による電気通信・ICT全般にわたる講義でした(写真)。勿論海外で教鞭をとることは初めてでエキサイトの連続でした。

配属先はバンコク郊外にあるキャンパスで豊かな自然に恵まれた所です。学生・教職員合せて約1500人のうち私は唯一の外国人でした。大学の設立主旨とキャンパスの雰囲気、私のそれまでのタイにおけるささやかな経験を踏まえ、やや大げさですが、活動を通して心掛けることとして「大学と産業界との結びつき」「学生の国際化」を掲げました。

活動は技術中心の講義ですが、その中に日本の大学教授や日系企業社長による特別講義、通信施設やケーブル工場の見学等を加え幅広い内容にしました。さらに世界のICT動向、タイの電気通信にも触れしました。このような内容の授業に学生が興味を持つか気掛かりでしたが、アンケートの結果全員が関心があるとのことで安堵しました。

当キャンパスでは新たなSV派遣要請や日本の工科大学と覚書締結がなされ、私の活動がこれらに幾分なりとも寄与しているなら幸いです。


          授業の合間に(中央筆者)


活動に頂いたご支援に感謝

私の活動期間中日本および在タイの多くの方々のご支援と励ましを頂き感謝に耐えません。異文化の中での草の根の活動にとって大変有難く心強いものでした。個人また例えばNTTバンコック会のように組織として、「技術的なことでも、困りごとでも何でも応えるから」との申し出を頂いたり、特別講義を引き受けて頂いたり、工場見学のアレンジもお願いしました。

それで今度は私がお役に立つ番かと考えております。NTTのOBでSV経験者および現在活動されている方は15名程おられます。そのパイオニアである石井孝氏(元NTTコムウエア社長)を含めて会を作り次第に輪を拡げて、SVに関心をお持ちの方に情報提供をしたり、活動中の方々の支援を致したいと考えておりますので、どうぞ遠慮なく連絡頂ければと思います。(電話045−961−9555)

活動を終えて達成感

またややオーバーながら、この体験は自分の再発見の機会でもありました。また学生は素直かつ純朴で、授業はもとよりスポーツ大会等を通じて若い彼らとの交流は清々しく且つ何物にも換え難いものでした。

私の活動が彼等に対し幾分なりとも刺激になったと共に、私自身にとっても未知への挑戦で大きなインパクトでした。帰国後私の家族が私に一目置くようになったとも感じました。またこの縁で近く個人ベースで特別講義に出かけることとしております。

SV活動への参加のお奨め

今まで培ったご自分の知識と経験を、それを欲しっている途上国で生かしてみませんか。「電気通信技術は分るが最近の情報通信技術はどうも・・・」とおっしゃる方も居られますが、要請案件は多岐に亘ります。例えば理科教育や品質管理等です。またSV活動の特徴として要請内容にある程度柔軟に対応出来ます。知識と経験に「挑戦」を加えられて応募してみませんか。きっとご自身の再発見もあり、新たな世界も開けるのではとお勧めします。
                                     

以上